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現実と異世界を往復したら無敵になりましたが謙虚です
現実と異世界を往復したら無敵になりましたが謙虚です
Penulis: うきぐも

第1話 なんか伝説の武器をだせるようになった

Penulis: うきぐも
last update Tanggal publikasi: 2026-08-25 22:59:45

寝転がったベッドの上で両手を伸ばす。

何も持っていない手の内に、剣を握るようなしぐさをする。

「エクスカリバー」

シュポン(効果音)

つぶやきとほぼ同時に、手の中に冷たく輝く剣が出現。

その間0.5秒

……なんかゲームの中にあった伝説の武器を、現実世界で自由に取り出せるようになった……。

――――――――――――――――――――――――

俺の名前は湊陽一(みなと よういち)

医療系の大学に通う23歳だ。

日中は大学の研究室で実験を繰り返しす真面目な学生。

だが家では……

『ソーマファンタジー』というゲームをひたすらプレイしている。

ソーマファンタジーは世間によくある、剣や魔法が活躍するネットゲーム。

高校に入った頃からプレイしている上に、大学に入ってからは重課金なのでステータスはすでに最高。

数年かけて入手するような装備を何種類も揃えた。

全てを極めた為、普段は淡々と日課をこなすだけの生活である。

だが先日、新たに実装されたボスとの戦いで久しぶりに時間を忘れて熱狂し、つい朝までプレイしてしまった。

ほとんど睡眠をとらないまま学校に行こうと自転車に乗ったら用水路に落ち……。

目が覚めたらソーマファンタジーの『中にいた』

それが昨日。

そこは巨大な異空間。

目の前には最後に戦ったボス『カオスドラゴン』。

誰かの声に促されるままに戦い続け、なんとかそいつを倒した。

そしたらお礼を言われ、気がついたらいつものベッドの上に戻っていた‥‥‥。

それが今。

――――――――――――――――――――――――――

(冒頭のシーンに戻る)

俺の手の中にはなんか、伝説の剣がある。

どうやらソーマファンタジー(略してソーファン)で手に入れた装備、アイテムがすべて出せるようなのだ。

何と表現すればいいのか難しいが、どうやら異世界での持ち物やステータスをすべて引き継いでいるとでも言えばいいのか。

最初は動揺したものの、数時間経った今はかなり慣れた

ソーファンにおける『エクスカリバー』の性能は……

・時々光属性追加ダメージ

・特殊必殺技使用可能

・装備している限り持続的にHPが回復

さらにソーファンの世界では、独自の設定により

『現在の装備を見た目に反映させない』

ができる。

つまり自分の意思で表示させない限り、周りからは普段着に見える。

防具もチェック。

「竜鱗甲」

再び呟く。

ズシっと身体に重量が来る。

龍の鱗を加工して作った伝説の鎧。

・属性攻撃に耐性

・一定の割合で属性攻撃を吸収

・最大HPの10%以下のダメージ無効

設定でこれも外からは見えないようにする。

ダメージ無効とは……?

さっそく実証実験。

ガスコンロに火をつけて恐る恐る手を差し伸べてみた。

なるほど確かに熱さは感じない。

なんとなく熱いものに触れているという感覚はある。

冷凍庫から氷を握りしめても同様。

冷たいものだという実感はあるが永遠に握りしめてられる。

ステータス画面を見ると、自分の最大HPは3098だ。

これはゲームのソーファン時代と同じ。

……確かレベル1のキャラだと20前後とかだったはず。

日常におけるダメージがどれぐらいなのかは不明だが……

とりあえず300以下のダメージ無効、は強そうだ。

何がどれぐらいのダメージなのか、少しずつ検証してみたい

他にもたくさんある。

そう考えながら、空中にアイテム欄を表示する

なんというか……脳内の倉庫に大量に収納されてて、いつでも呼び出せる感じ。

そして……。

昨日から始まった異常な設定はそれだけじゃ終わらなかった。

風呂場のドアを開けると……そこには淡く輝く扉がある。

これを抜けると、どこかの森の中につながるようになったのだ。

扉をくぐると、柔らかな木漏れ日の光がサッと差し込む。

優しい風が吹き、草の匂いや土の匂いは、それだけでもう異世界を感じさせる。

「おかえり?」

そこにいたのは少し尖った耳をした、とても小柄な女性。

長い髪をくるくると巻いて結い上げている。

年齢は不詳だが、見た目だけなら少女と呼んでもおかしくない。

「うん」

俺は自然にそう応えた。

リアルに会ったのはこれが二回目のはず。

なのに俺はこの女性を最初から知っていた

なぜなら――。

このとても見覚えある小さな女性は……

『俺がソーマファンタジーの中で2アカウント目として動かしていた』

キャラクターだからだ。

ゲームの中では俺自身が動かしていたキャラ。

だが今、目の前にいるこの女性は……明らかに自分の意思で生きている。

彼女の名は『マリチ』といい、魔力と素早さに優れた魔妖精という種族。

もしこの見覚えのありすぎる異世界人が自分の知っているマリチであれば、すべての魔法を極めた魔導士であり、すべてを破壊できる格闘家だということになる。

それも実証してみたいが……今、目の前にいる『マリチ』は俺の自キャラではない。

この世界に生きている実在の人物なのだ。

なので彼女のステータスなどは、今後少しずつ敬意をもって確認したい。

マリチは俺の顔を見ると、にっこり笑って言った。

「そろそろ砂漠の皇帝が湧くころだよ。行くよね?」

「え、あ、うん」

『実際に』会ってまだ数日なわけだが、向こうは……

『旧知の仲で長い間ともに冒険してきた相棒』

という体で接してくるのが不思議な感じだ。

まるで幾度となく繰り返してきた作業であるかのように、さっそく冒険準備を始める。

様々な目的のあるソーマファンタジー。

メインのストーリーの奥深さもさることながら、キャラや装備の強化もやりごたえのあるゲームである。

強い装備を手に入れる手段は大まかに分けて二つ。

伝説の武器を手に入れるか、強力なモンスターを倒すか。

(または手に入れた素材を加工)

モンスターから手に入れた武具やアイテムは他人に売却することができ、この世界の冒険者における大きな収入源となっている。

そして先ほどマリチが言ったモンスター。

『砂漠の皇帝』

広大な砂漠に雨季が訪れた際、ほんの短い期間だけ出現する巨大な古代昆虫の一種である。

この世界では、多くいる個体の中でも特別に強力なモンスターに、固有の名称が与えられることがある。

この個体もそういう存在のうちの一体だ。

そういったモンスターはこの世界ではネームドモンスターと呼ばれ、レアな装備や素材をドロップする。

今回の『砂漠の皇帝』は、俺の知識に照らし合わせると中級ランクのモンスター。

そこそこ腕に覚えのある冒険者の小遣い稼ぎにはちょうどいい。

「さっそく行こうか~」

彼女は転移呪文の詠唱を開始した。

移動用の魔法は本来は長大な詠唱時間を要するのだが、魔法系クラスを極めているマリチの場合は、ほとんど一瞬である

ブォォーーン(効果音)

唸るような音とともに辺りは闇に包まれた。

次に、急に強い光が差し込んだかと思えばそこはもう広大な砂漠である。

-熱砂の砂漠-

広い遠浅の海に面した鳴き砂の砂漠で、連日強い風が吹く。

砂は強風によりはるか遠くから飛んできたものが積もっていったもので、砂漠というよりも海に面した砂丘とでもいう地形。

点在している岩の周辺には雨水がたまり、南国風の木が密集して生えている。

その中でもひと際大きな木々が集まっている場所にそれはいた

砂漠の皇帝『デューンエンペラー』

ムカデにトンボの羽が生えたような姿で浮かんでおり、とにかく巨大だ。

クジラぐらいあるかもしれない。

「タイミングよく沸いてるなぁ。ありがたいね」

ソーファンの世界におけるネームドモンスターは、一度倒した後に再び出現するまでにかなり長い時間を要する。

砂漠の皇帝の出現周期はおよそ三日ほど。

タイミングよく出会えるかも運だし、もたもたしてると誰かが倒してしまう。

ゆえに今のこの状況はかなりラッキーというわけだ。

と、思ったが……。

「あれ~?……誰か先にやってるなぁ~……」

と、マリチは苦笑い。

近づくにつれ、剣がモンスターの固い装甲にあたる音や、魔法の炎がはじける音が聞こえてくる。

さらに距離を詰めているとなんとなくわかってくるが、どうも戦況は芳しくないようだ。

「なんか負けそうかね?」

マリチが呟くのと同じぐらいのタイミングで前衛にいた戦士風の青年が、こちら側に大きく弾き飛ばされてきた。

「マズいな」

「手伝おっか」

マリチがゆるく詠唱を始める。

「宇宙を統べる星界の王、我が求めに応じ疾くきたれ。いでよ真龍~」

それはまるで日常会話の一節のような軽い調子だ。

呼び出す者の名を唱えつつ、手を複雑に交差させる。

すると目の前に現れた光の魔法陣から巨大な銀色の竜が躍り上がった

「あ。やっぱマリチは召喚できるんだ…」

俺とマリチは基本的にずっと同じクエストをこなしてきている。

なので習得しているクラスやスキルは同じである。

なので俺に出来ることはマリチもできるし、逆もしかり。

とはいえ今設定しているクラスはマリチが『召喚士』、俺が『ルーンナイト』

『ルーンナイト』は防御系クラスである。

精霊たちの力を取り込んで魔法防御力を飛躍的に高めることができる。

「エンチャントスピリット、氷神」

全身に白い霜のようなオーラがまとわりつく。

一瞬にして氷の精霊の力を纏い、剣を抜いてデューンエンペラーに近づく。

モンスターは前衛風の金属鎧を身に着けた青年を弾き飛ばし、次に後ろの白魔導士を攻撃しようとした時だった。

ギギッ!

剣を抜き放った俺の気配を察知したのか、突然方向転換してこちらへ向かってきた。

「ヨーイチのヘイトの方が圧倒的に勝ってるみたいね」

この世界には『ヘイト』という概念がある。

要は敵からの狙われやすさであり、殺気みたいなものだと考えればわかりやすい。

元々盾クラス(前に出て敵の攻撃を受けるクラス)を好んでいたせいで、俺の装備は基本的にヘイトが上がりやすくなっている。

モンスターはまっしぐらに俺に向かって噛みつき攻撃をしてきた。

が。

ガギギギッ!

かじられてもダメージは入らない。

「こいつクラスだと無傷か」

どうやら今の俺の強さだと、中級クラスのネームドモンスターの攻撃でもノーダメージらしい。

ということはこの世界での俺のステータスは、ゲーム時代のものをそのまま引き継いでいると推定できる。

「誰かわからないけどありがとう!」

「助かります!」

そしてもう一人横に控えていた狩人風の青年もお礼を言ってくる。

「かたじけない……!」

どうやら俺たちよりも先に戦っていたこの冒険者の3人組は、まだまだ初~中級クラス……レベルにして30ぐらいか

「倒しちゃってもいいかな?」

ガスゴス殴られながらもノーダメージの俺を見ながらマリチが呟く。

先に戦っていた彼らの獲物を横取りするような行動はあまり推奨されないが、俺が殴られながらボーっとしているのも変な話だ。

待っていても3人組が戦況を覆してこいつに勝てるとは思えないしな……。

しばし考えた後、俺はうなずく。

マリチが横目でそれを確認する。

「了解した。では。真龍の咆哮発射~。世界を制する滅びの光~」

マリチののほほんとした詠唱に連動し、前に浮かんでいた巨大な龍が空高く羽ばたく。

そして敵を見据えた位置で静かに静止すると、口元にチリチリとエネルギーが収束し始め……

そこから一気に強力な光が溢れ始める。

目の前の敵に集中して死闘を繰り広げていた三人。

ようやくマリチが従えていたのが最高位の召喚獣であることに気づく。

『はわああああ最高位召喚術…!!』

3人は目を見開いてその光の凝集に驚愕し、慌ててモンスターから飛び退る。

その直後。

シュドッ――。

目もくらむほどの閃光が、モンスターの身体の大半を貫いた。

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